国立能楽堂(国立劇場養成所)は、次代の能・狂言を担う「能楽研修生(三役=ワキ方・囃子方・狂言方)」の募集(第13期)を行っている。研修は2025年4月から2032年3月までの6年間の全日制課程で、基礎から実技・理論までを一貫して学ぶ。研修期間が長期に及ぶことから、能楽研修生の募集は3年に一度となっている。募集は2026年1月30日(金)まで。


受講料は無料。遠隔地在住者への宿舎貸与・住宅費補助など支援も手厚いが、近年課題となっているのが応募者の減少だ。能楽に馴染みのない若い世代に、いかにこの制度の存在と魅力を届けるか、養成所側もこれまで以上に広報に力を入れている。取り組みの一つとして2025年12月、第13期研修で狂言方(和泉流)の主任講師を務める野村萬斎氏は一般紙記者らを前に会見を行い、養成事業への思いを語った。
萬斎氏はまず、「古典芸能というと堅く感じるかもしれませんが、能楽には〈型〉という非常に確立された方法論がある。多少時間はかかりますが、それを身につけてしまえば、非常に高性能な表現ツールが出来上がる」と述べた。さらに「一度身につけた技術は一生付き合っていけるもの。父(万作氏)は九十代でも現役であり、さらに年を重ねると型を使っているはずなのに、逆に型を感じさせない自然な境地に至る」と語り、能楽を職業として続けていくことを語った。

修行過程については「名人と一緒に舞台に立つというのは、巨人の服を着るようなもの。本来、その服に合う体型にならないと埋まらない。だからこそ、自分のサイズ感が引き上げられる」と、師匠と一対一で学べる密度の濃さを説明。「今はYouTubeやインフルエンサーなど誰でも〈表現者〉になれる時代。でも、能楽は声と体だけで、人と人がダイレクトにつながれる芸能。単純な構造だからこそ、伝わった時の高揚感は大きい」と述べ、「性別も超えられるし、神にも鬼にもなれる。ある意味、これほど究極の変身はない」と、現代的な言葉で能楽の魅力を話した。
今期の能楽研修生の募集役方は、ワキ方(福王流)、笛方(森田流)、小鼓方(幸清流)、大鼓方(葛野流)、太鼓方(金春流)、狂言方(和泉流/野村万作家)。応募資格は、中学生(卒業見込み含む)以上で、原則として二十三歳以下の者。応募を検討する人に向けては、「プレ研修」や見学の機会も用意されている。詳細は国立劇場養成所の公式サイトへ。
問合せ=国立能楽堂養成係◆03―3423―1483(平日10時〜18時)




