
〈批評と感想〉
慰霊鎮魂の名舞台〈砧〉〜2025年8月の能・狂言〜
村上 湛(むらかみ たたう)
▼古典演劇評論家の村上湛氏(明星大学人文学部日本文化学科教授)による、2025年8月に観た能楽公演の批評。
2025年8月6日『国立能楽堂企画公演〈国立能楽堂夏スペシャル〉』から袴能「砧」観世恭秀★、福王茂十郎、小舞「海老救川」野村太一郎、狂言語「朝比奈」野村万作、小謡「水汲」野村萬斎、野村裕基、◆7日『能狂言〈日出処の天子〉』から野村萬斎★、福王和幸、石田幸雄、茂山逸平、◆15日『新作能〈巣鴨塚 ハルの便り〉』★、◆20日『第七回 喜多流養成会』より舞囃子「賀茂」大島伊織、「半蔀」金子龍晟、「邯鄲」狩野裕一、「船弁慶」谷友矩、「湯谷」高林昌司、大島伊織、28日『野村狂言座』より「丼礑」高野和憲★、野村裕基、野村太一郎、「伊呂波」内藤響、内藤連、「右流左止」野村万作★、野村萬斎、「茸」飯田豪、石田幸雄、28日『国立能楽堂企画公演〈国立能楽堂夏スペシャル〉狂言と落語・講談 聟入りのさまざま』より「八幡前」茂山茂、松本薫、茂山宗彦、茂山逸平、29日『渋谷能』より「小鍛冶・白頭」髙橋忍★、30日『青山能MIRAI』より「重喜」山本則匡★、半能「岩船」安藤継之助★、宝生朝哉、宝生尚哉、大日方陽、31日『第十一回 広忠の会・亀井忠雄三回忌追善』より「江口・平調返・流八頭」観世清和★、大鼓:亀井広忠、舞囃子「経政」友枝昭世、一調「定家」片山九郎右衛門・亀井広忠、「道成寺」観世喜正、山本則重、茂山逸平、亀井広忠を紹介。(★は写真掲載)

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戦争関連の新作能(上)〜英語能〈オッペンハイマー〉〜
小田 幸子(おだ さちこ)
▼戦後80年、メディアでアジア・太平洋戦争当時を振り返ろうとする動きが盛んである本年。その中で今夏に立て続けに上演された、戦争に関する2つの新作能について能狂言研究家・小田幸子氏が振り返る。上編の本記事では8月6日・9日に喜多能楽堂で催された『英語能〈オッペンハイマー〉』について。
”二作品は、いかなる局面を現代のわれわれに開き、何を問いかけるのか、能の形式で表現する意味はどこにあるのか、また、イデオロギーに結びつかざるを得ない近現代の政治・社会を扱う「新作能」の評価基準をどこに置くのか等々、容易には答えの出ない多くの課題を投げかけられた思いである。ここでは作品の概要を紹介すると共に、いくつか気づいた点を述べて、今後につなげることとしたい”(本文より)
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【連載】玄談放談 第4回:必死の日々〜師と先輩に導かれて
味方 玄(みかた しずか)
▼観世流シテ方・味方玄氏による連載コラム。第4回は、片山家における五年十ヶ月に及ぶ内弟子時代を振り返る。先輩からの教え、ハードな住み込み生活、九郎右衛門氏(当時・清司)にピンチを救ってもらったエピソード等々。
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【連載】西三河在住能楽研究者の眼差し:令和七年夏の二舞台~納涼能と御洒落名匠狂言会~
飯塚 恵理人(いいづか えりと)
▼愛知県中部、西三河に在住の能楽研究者・飯塚恵理人氏(椙山女学園大学外国語学部国際教養学科教授)が、愛知県内で鑑賞した能楽公演について振り返る。
2025年7月12日豊田市能楽堂『納涼能』から「梟山伏」野村万蔵、「一角仙人」井上貴寛★、7月13日名古屋能楽堂『第二十六回 御洒落名匠狂言会』より「靭猿」佐藤友彦、「千鳥」大蔵彌右衛門、「呂蓮」井上松次郎★を紹介。(★は写真掲載)
スクリーンで見る「川上」狂言方・野村万作の芸と人生
網本 尚子(あみもと なおこ)
▼2025年8月末に公開された、狂言方観世流・野村万作氏の芸歴90年を描くドキュメンタリー映画『六つの顔』について、狂言と中世の風俗や文芸との関係について研究する東京富士大学教授・網本尚子氏に映画評を寄稿いただいた。
「高松で啐啄の能公演、満席に」 第一回 講岐葵会・大阪能楽養成会研究発表会
加藤 きよ子(かとう きよこ)
▼2025年8月4日に香川県レグザムホールで開催された、大阪能楽養成会研究生による研究発表会について、公益財団法人松平公益会 百周年記念事業実行委員会の加藤きよ子氏がレポートする。
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〈ニュース、レポートなど〉
■第80回 文化庁芸術祭
■梅若万佐晴三回忌追善公演 橘香会
■万蔵・曲祷還暦記念 黒川能特別公演
■平和市民公園開館35周年記念『能楽の祭典』
■一噌幸弘×沖仁 共演★
■【訃報】梅若善高氏★
■本のオススメ
……ほか(★は写真掲載)
◆2025年10月の全国の能楽公演カレンダー「今月の能」収録◆

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