日本芸術院は11月30日、芸術活動で顕著な功績があったとして日本芸術院新会員候補者8名を決め、12月15日付けで林芳正文部科学相から正式発令された。能楽界からは狂言方大蔵流山本東次郎氏が選ばれたほか、詩人の高橋睦郎氏、演劇評論家の渡辺保氏も選ばれた。
推薦理由は「三世東次郎の長男として生まれ、幼少より父の厳格なる薫陶を受け、江戸式楽狂言の古格を守る、剛直にして端麗な芸系を的確に継承している。加えて近年、人間味豊かな感性を基にした独自の芸風を確立している。また、新作狂言の創作に携わるなど才能は多岐にわたる。その充実した知性あふれる舞台存在は、斯界すべてが認めるところである」というもの。
▼山本東次郎氏略歴:昭和12年東京生。三世山本東次郎の長男。昭和17年「痿痺(しびり)」で初舞台。平成5年芸術選奨文部大臣賞、7年観世寿夫記念法政大学能楽賞、13年エクソンモービル音楽賞(邦楽部門)、19年日本芸術院賞受賞。平成10年紫綬褒章受章。(一財)杉並能楽堂理事、(一社)日本能楽会理事。著書に『狂言のすすめ』『狂言のことだま』『山本東次郎家 狂言の面』(いずれも玉川大学出版部)、『中・高校生のための狂言入門』(平凡社)がある。平成24年、重要無形文化財保持者(各個指定=人間国宝)に認定される。