日本芸術院(黒井千次院長)は3月22日、優れた芸術活動を表彰する平成28年度(第73回)芸術院賞受賞者を発表し、能楽界からシテ方観世流の大槻文藏氏が選ばれた(音楽・演劇・舞踊部門)。大槻氏は「能の最高秘曲と復曲における優れた舞台成果」と「大阪能楽会の発展及び、後進育成の業績」を評価された。
このほか、文芸部門には評論家の渡辺保氏が「伝統演劇の本質を探究した評論の業績」で選出されたほか、諸分野から9名が選ばれた。授賞式は6月19日、日本芸術院会館(東京都台東区)にて行われる。
▼大槻文藏氏略歴:昭和17年生。大槻秀夫の長男。祖父大槻十三、父および観世寿夫、八世銕之亟に師事。昭和22年「鞍馬天狗」花見で初舞台、25年「猩々」で初シテ。平成10年観世寿夫記念法政大学能楽賞ほか、松尾芸能賞優秀賞(平成8)、芸術選奨文部科学大臣賞(平成12)など受賞多数。平成14年紫綬褒章受章、28年重要無形文化財保持者(各個認定)に指定。大槻能楽堂自主公演能、清韻会主催。大阪観世会所属。(財)大槻能楽堂理事長。
※能楽タイムズ5月号より