9月14日、東京・六本木の国立新美術館で開催される特別展『ダリ展』の開会式が行われ、新作「ダリ能」が上演された。
これは、株式会社電通が8月末に発表したテクノロジーと能を組み合わせた『テク能プロジェクト(※)』の第一弾として制作されたもので、シテ(サルバドール・ダリ)は観世流の清水寛二氏が勤めた。一方、能面は高精度の金属削り出し技術で作成された新作面を用い、背景映像は最新のメディアテクノロジーを駆使したプロジェクトで注目されるクリエイティブ集団「ライゾマティックス アーキテクチャー」の齋藤精一氏が担当するなど、日本の最先端技術と能との大胆な融合が試みられていた。
ダリの魂を会場へ呼び戻すという主題の謡には、現代科学の進歩を言祝ぐダリの姿が描かれ、当日は絵画作品さながらの時間を超越したパフォーマンスが展開された。
電通では、今後も同プロジェクトを様々に展開していくことを予定しており、能とテクノロジーを融合させた新しい芸術の創造が期待される。
写真提供:株式会社 電通
※テク能プロジェクト:株式会社電通が、能の可能性をテクノロジーで拡張させることをテーマに立ち上げた新事業。様々な企業や団体、クリエーターを巻きこみながらデジタル時代の幽玄美を生み出すことで能の伝統芸能としての新たな展開を創造するとともに、現代社会の様々なシーンでの活用を目指す。
詳細:http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0825-009018.html
(この記事は『能楽タイムズ』10月号に掲載されたものに加筆し転載しています)