野村四郎氏 観世宗家より雪号の差し許し

能楽タイムズ本紙

4月3日、観世宗家宅において、野村四郎氏へ長年の功績を讃え「雪」の一字が差し許された。以後「幻雪(げんせつ)」と名乗られる。

〈雪号〉は、観世宗家で特に大切にしてきた雅号で、九世身愛黒雪、十二世重賢周雪、二十一世清長呉雪、二十二世清孝普雪、二十三世清廉和雪、二十四世元滋光雪の6名の家元が名乗っている。分家では七世銕之丞雅雪まで4名、また、明治期から流儀に功績のあった弟子家の長老に授与されるようになり、幻雪氏は11人目となる。

▼野村幻雪氏略歴:シテ方観世流能楽師。昭和11年和泉流狂言方六世野村万蔵家の四男として生まれる。15年狂言「靭猿」で初舞台。27年二十五世観世元正に内弟子入門し観世寿夫に師事。能楽界の重鎮として、秘曲や復曲能の上演、新作能の作曲や作舞、海外公演、後進の育成など幅広く活躍。芸術選奨文部大臣賞受賞、紫綬褒章受章、日本芸術院賞受賞。東京藝術大学名誉教授、日本能楽会会長。

(能楽タイムズ2021年5月号<830号>掲載)