大鼓方高安流・柿原崇志氏 人間国宝に

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文化審議会は7月 20 日、 大鼓方高安流の柿原崇志氏ほか2名を重要無形文化財保持者(各個認定=人間国 宝)に認定するよう文部科 学大臣へ答申した。能界で の人間国宝は、川崎九淵、喜多六平太(十四世)、幸 祥光、善竹弥五郎、松本謙 三、近藤乾三、野村万蔵(六 世)、亀井俊雄、柿本豊次、 安福春雄、櫻間道雄、後藤 得三、藤田大五郎、幸宣佳、 茂山千作(三世)、豊嶋弥左衛門、高橋進、三宅藤九郎(先代)、宝生弥一、鵜澤寿、瀬尾乃武、森茂好、松本惠雄、観世銕之亟(八世)、粟谷菊生、茂山千作(四世)、金春惣右衛門、北村治、宝生閑、曽和博朗、片山幽雪、三川泉、安福建雄、一噌仙幸(以上物故)、野村萬、 亀井忠雄、野村万作、友枝昭世、山本東次郎、梅若実、 三島元太郎、大槻文藏、野村四郎、大倉源次郎の諸氏で、このたびの柿原崇志氏の認定で 45 人目になる。

認定理由は、「大鼓方の専従者として研鑽に励み、昭和 36 年の「猩々乱」「石橋」、 42 年の「道成寺」等、 大曲を次々と披きつつ着実に芸歴を重ね、 57 年に重要 無形文化財「能楽」(総合 認定)保持者の認定を受け、その後も能の最奥の曲 とされる老女物「檜垣」「姨 捨」「関寺小町」を務める等、 長年にわたり充実した舞台 活動を継続している。曲目 を問わず、常にあらゆる曲 趣を的確に表現し、かつ規 矩正しい同人の安定した大 鼓の技量は、他の能楽師からも信頼が厚く、現在の能 楽界において主要な位置を 占めている。このような活 発な舞台活動を展開する一方、社団法人能楽協会(現・ 公益社団法人能楽協会)及び社団法人日本能楽会(現・ 一般社団法人日本能楽会) の役員を歴任し、斯界の振 興発展にも尽力してきた。また、長年にわたり後進の指導にも尽力し、自身の門下ばかりでなく、能楽養成会講師、東京藝術大学音楽学部非常勤講師、国立劇場伝統芸能伝承者養成「能楽(三役)」研修講師を務める等、後継者の育成に努めてきた」というもの。

柿原崇志氏は昭和 15 年生 れ。柿原繁藏の長男。父および安福春雄に師事。平成5年観世寿夫記念法政大学能楽賞、平成 26 年度恩賜賞・ 日本芸術院賞受賞。