10月1日(木) 、東京・野村よいや舞台において『万作を観る会〜楢山節考』公演記者発表会が行われた。今回の公演では、野村万作氏が深沢七郎の小説『楢山節考』の舞台化に、初演の昭和32年以来58年ぶりに取り組む。
『楢山節考』は、昭和31 年に発表された深沢七郎の小説で民間伝承の棄老伝説を題材に貧しい山村で生きる人々の姿を描いたもの。深沢七郎のデビュー作であるとともに、発表翌年の昭和32年にはベストセラーとなり、舞台化はもちろん、映画やドラマにも取り上げられている。この小説の狂言様式の上演は昭和32年12月〈第14回冠者会〉で初演されて以来58年ぶりとなる。
「長いこと再演の希望を持っていたがなかなか出来なかった」という万作氏は、今公演でも初演時と同じく主人公おりんを演じる。悲劇性のあるテーマをあえて狂言様式で取りあげることについて、氏は「私の資質の中に若い頃からある思い」「能とともに育った狂言ありよう、狂言の中の能の要素を昇華させて〈狂言にしかできない〉表現、〈狂言能〉を目指していきたい」と述べ、同作に向けての意気込みを感じさせた。
初演時は演出・岡倉士朗、横道萬里雄、台本(脚色)・岡本克己での上演で、今回は主に当時の台本に基づき演出は万作氏自らが務める。また、新たに冒頭の〈語り〉の挿入、能の囃子方の参加など、初演時とは異なる演出も加えられる。
公演は、11月25日(水)、29日(日)。東京・ 国立能楽堂にて。チケットは10月23日(金)午前10時からチケットぴあ他にて発売。
【公演詳細】
『万作を観る会』
○日時
11月25日(水) 19時
11月29日(日) 13時/17時
○場所
国立能楽堂(渋谷区千駄ヶ谷4-18-1)
○番組
狂言「千鳥」
野村萬斎
小舞「鮒」
野村遼太
深沢七郎原作・岡本克己脚色・野村万作演出
狂言「楢山節考」
野村万作
主催・問合せ
万作の会
☎03-5981-9778(平日11時〜17時)