12月7日、第39回『観世寿夫記念法政大学能楽賞(以下「寿夫賞」)』授賞者が発表され、能・狂言研究家の小田幸子氏とシテ方観世流の片山九郎右衛門氏が、『催花賞』には能楽ジャーナリストの柳沢新治氏が選ばれた。贈呈理由は以下の通り。
【寿夫賞】▼小田幸子氏:長年にわたって能の演出の史的研究に取り組み、能楽研究に新たな領域を開拓するとともに、その成果に基づく舞台上演にも多大な功績を挙げてきた。廃曲の復活上演、現行曲の演出の見直しなど、舞台の現場と深く結びついた氏の活動は、現代における能の演出の意義を問う意欲的な試みとして顕彰に価する。▼片山九郎右衛門氏:強靭な技に支えられた美しさに定評のある氏の演技は、近年そこに豊かな情感が加わり、特に2017年の「檜垣」「三輪・白式神神楽」等に優れた達成を見せた。綿密な稽古を重ねての新作上演、後継者の育成や新たな観客開拓のための企画等、能楽の伝承と発展にかける真摯な姿勢と熱意も高く評価される。
【催花賞】▼柳沢新治氏:NHKのディレクターとして長年、能・狂言の映像化と発信に尽力した氏は、退職後も能楽番組やDVD等で良質なコンテンツを制作するとともに、豊田市能楽堂のアドバイザーとして数多くの魅力的な企画を提供してきた。能楽の普及・振興に氏が果たした役割は多大である。