7月23日(日)2時半から行われる『萬狂言・夏公演』(国立能楽堂)で、作=磯田道史(国際日本文化研究センター准教授・歴史学者)、台本・演出=野村万蔵の新作狂言「信長占い」が初演される。
この作品は、歴史学者の磯田氏が戦国時代の武将・織田信長を主人公に史実に基づき構想し、万蔵氏が台本に仕上げたもの。きっかけは本年1月の『萬狂言・新春特別公演』での狂言「歌仙」の改作上演にあたり、万蔵氏が磯田氏に台本協力を依頼したこと。もともと万蔵氏は、磯田氏の手がけた作品(「武士の家計簿」など)を「庶民にスポットを当てたユーモアある作品が多く〈狂言っぽい〉と思っていた」そうで、今回は満を持しての新作発表となる。
「信長占い」は歴史学者の磯田氏らしく『朝野雑載(ちょうやざっさい)』所収のエピソードをもとにつくられた作品(末尾にあらすじ記載)。磯田氏は過去の万蔵氏のインタビューに「戦国武将を取り扱った狂言をやってみたい」とあったのを読み、「役者が一番燃える脚本をつくりたいと思った」という。また、「狂言に戦国武将などを主人公にした作品がないのは、基本的に笑いの芸術である狂言では書けなかったからではないか。〈信長占い〉は新作ではあるが、もしかしたら江戸時代の狂言師が書きたかった世界かもしれない」と作品への思いを語った。
また、万蔵氏は「今の人が一番興味をそそる作品をつくることで、狂言の世界はもっと広がるのでは」と述べ、「一度きりではなく何度でも上演されるような作品をつくっていきたい」「磯田さんにはアイデアがたくさんある。今作はその第一弾」と、この「信長占い」を皮切りに、今後もこのタッグでさらに新しい狂言に挑戦していく意向を語っていた。
当日の番組詳細は以下の通り。解説・野村万蔵、小舞・野村眞之介、野村万之丞、狂言「昆布売」野村萬、野村拳之介、新作狂言「信長占い」野村万蔵、能村晶人、野村万之丞、河野佑紀、狂言「悪太郎」小笠原匡、野村万禄、野村万蔵ほか。料金は一般が松/正面・中正面=8000円、竹/脇正面前方・中正面=5000円、梅/脇正面後方=3000円。シニア(60歳以上)=3500円、教職員=4000円(ともに竹のみ)、学生=1500円(梅のみ)。チケット取り扱い=チケットぴあ☎0570-02-9999[Pコード:458-091]http://t.pia.jp/、イープラス http://eplus.jp/、ヨロズチケット☎0120-807-305。
また、同作は9月23日(土・祝)14時から水戸芸術館ACM劇場で行われる『萬狂言・水戸公演2017』にても上演される。
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新作狂言「信長占い」:織田信長(野村万蔵)は、生まれた年・月・日・時刻で占う「四柱推命」を知り、自分と同じ年・月・日・時刻に生まれた者を探すように命ずる。すると連れてこられたのは極貧の男(野村万之丞)。同じ運命をたどるのならば、この男が天下取りの自分をおびやかすライバルかと信長は警戒するが、それに対し極貧の男は……。
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